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姉との戦い

その日は晴れでした。日課になっている朝の散歩を終えた私はテレビを見ながら朝食の準備をしていました。今日は何をして過ごそうかと考えるだけで気分が上向きます。

食パンが焼けてさぁ食べようかというときに電話がかかってきます。相手は姉でした。私はこの時何か嫌な予感がしました。それはただの勘であったのか予感だったのか……

電話に出た私に姉はすぐに家に来てほしいといいます。緊迫した口調でしたので無駄口を叩かず「分かった、朝食を食べたら用意して家を出る」といいました。

頭の中を整理します。姉は自分の力だけで解決できない案件を抱えると私にまず話を持ち掛けてくる。姉の電話口での喋り方、今までの行動パターンからして厄介な問題が生じたのは明らかだ。

可能性大なのが家族間でのトラブル。誤診をした医者にどなりこみにいけだの軽くいう姉が電話では話したくない場合まずこれが考えられます。

義兄との仲がこじれて離婚という線も考えましたが、最近夫婦仲が悪いとは聞いていない。とはいっても浮気をしたという話ならばそれまでの夫婦仲が多少良かろうが関係ないだろう。

そして考えたくないもう一つの可能性。メイちゃんとの間に何かあったのではないか?私は思わず溜息をつきました。姉とメイちゃんとの仲は明らかに悪い。というよりも

姉が一方的に嫌ってるといったほうが正しい。理由が分からないうえにデリケートな問題なので私はそんな問題がないように振る舞っています。

朝食を終えた私は歯を磨き、気合を入れるためにスーツを着て家を出ました。姉の家に着いたときリビングには姉一人神妙な顔で座っていました。

私は「義兄さんは?」と聞くと「仕事」と短く返ってきます。姉以外の人間の場合私は世間話などで空気を軽くしてから本題に入るのですが「それで今日は何?」と聞きました。

姉は中学受験の事を話しました。メイちゃんを寮がある学校に入れたいと。ああそうなのかやはりそうか。私は落胆しました。建前ではいろいろな理由があるだろう。だが今回の事は姉の意向であり姪の意見は無視している。明らかに”嫌いだから遠くへやりたい”という思惑が透けてみえる。

私は頭の中をフル回転させました。この先の会話では少したりともミスをしてはいけない。大事な姪の人生がかかってるといっても過言ではないし己惚れでもないだろう。

私は二つの指摘をします。姉宅から通える公立中学校が荒れているという話は聞いたことないし教育の評判も悪くない。それでも不安なら通える範囲内の私立中学校でいいのでははないか?調べておいたデータを駆使して論理的に話したつもりです。

姉は私の話を一蹴してあくまで自説に拘ります。私は次の段階に話を進めました。メイはなんていっているのか?私は聞きます。姉は睨みつけてきましたが私は目を逸らしませんでした。

1分ほど経った後に「子供のうちはね親のいうことだけを聞いておいたほうがいい時期があるの」と言いました。私は「それはそうだと思う。だけど今回の事は本人が嫌がってるのに同意もなしで一方的に決めるのはおかしい」と反論しました。

すると烈火のごとく姉は怒りました。

「家庭も持っていない定職にも就いていないあんたに何が分かるんだ!」
「責任がない立場であの子にあーせいこーせいいうんでしょ!」
「子供がいない人間が!子供もいない人間が!なんで!!」
「ちょっと仲がいいからってね!そんなのは勘違いだよ!!あんたは甘やかしているだけだよ!」
「偉そうに口を出すならまずちゃんと働いてからにしろ!勘違いするな!」


久しぶりの姉の激昂でしたがそういえば昔はよくこんな怒り方をしていたなと懐かしくなりました。姉は明らかに取り乱しているので私はお茶を入れました。少し落ち着いてからではないと話しても意味はない。

数分経った後私は強い口調で喋りました。姉の罵倒に怒っていたわけではなくむしろいい機会だと感じました。姉は私を罵倒したことで多少の罪悪感がある。少し怒っている素振りを見せたほうが主導権を握れるのではないか?そう考えたのです。

「勘違いはしていない。僕が不甲斐ないのは確かだがそれはメイの件に 関係ないだろうまったく別の問題だ混同するな勘違いしているのは姉さんだ」

「僕はメイにとって一番いい選択をしてほしいだけだ」
「姉さんの判断は明らかにおかしいと思うし理解できない。なんで メイを家から出したがる?大学生になるのならまだ分かるが中学生が 寮なんて入る必要があるのか?」

私は核心に触れました。家から追い出したいと姉がいったわけではないのですが、既成事実のように話しました。姉は黙り込みました。私は押すか引くか悩みます。

ここで適当に迎合すればメイちゃんは姉の意向通りになってしまうだろう。私は寮生活そのものの善悪についてはむしろどうでもいいことだと判断していました。

それよりも母から捨てられたと感じてしまったら姪の心の傷は一生癒えないくらいのトラウマになるのではないか。あの優しい子が泣くのは私にとっても厳しい事です。


そもそも独身でアルバイトの私にとって本当に大事だと思える事なんてほとんどありません。長生きしたいと思ってはいますが、反面いつ死んでもたいしたことではないとも思っています。私が死んで困る人間などいない以上気楽なものです。

私にとっては姪だけが損得抜きで行動できる唯一の相手であり、ここで安易な妥協はできない。どうにか姉に翻意してもらいたい。そんなに難しい事なのだろうか?自分の娘を愛することが?叔父の私でさえ娘のように愛しているというのに?私は目の前にいる姉を理解できませんでした……が意を決して進みました。難しい所ですがここで曖昧に終わらせてはいけない。

「前から思っていたが姉さんはメイに対して厳しすぎる。レイには普通に接しているいやむしろ甘いくらいだ」
「お姉ちゃんだから妹だからという範囲を超えているように見える。もう少し優しく接することはできないのか?」

姉は明らかに動揺していました。おそらく今までに指摘されたことがないのだろう。義兄は私よりこの家庭についての理解が浅い。それも当たり前で単純に睡眠時間を除けば私のほうが姉宅にいる時間が長いからです。

私は考えていました。姉がそんなことはないと否定すればどう話を進めていけばいいのだろうかと。具体的な事例を出して責めるのか?それとも一旦話を引っ込めるべきだろうか。私の予想に反して姉から出た言葉は素直なものでした。

「あの子見ていると苛々するのよ」
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