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不登校の少女

その日は曇り空で過ごしやすい朝でした。我が塾は事務員などというしゃれた存在はおらず私一人です。お茶を入れながら雑務こなしていました。コーヒーは口臭対策で飲みません。私は塾ではお茶を飲んでいるのです。そんな風に過ごしていた時に1人の女性がやってきました。

「あらー先生ですか先生?」

彼女はそういって入ってきました。

「あらースネイプ先生に似ているって本当に似てるわ」

昔生徒にもいわれたことがありこれで三度目です。ハリーポッターシリーズは最初の作品だけ見ました。スネイプ先生というと主人公のハリーをいじめる先生です。私は考えました、人は9割方容姿で判断されます。有名な映画の主人公をいじめる先生役と私が似ているということは塾を経営するうえで大きな-ポイントではないのか?私は全然似ているとは思いませんが思わぬところでイメチェンを考えるきっかけになりました。

「それでねここ塾よね、私の娘がどうかなって思ってきたんだけどどうかしらね」
「ええそうです個人塾です、私一人でやっています」
「そうなの!でもあれよねその分生徒一人一人と距離が近いとかそういうね大手の塾と比べて施設面じゃ劣るけどその分カバーするみたいにねうんうんそうだと思う」

いきなりフォローされてしまいました。

「それでねうちの娘ねすっごい美人なの」
「ぇ?ぇぇ」

まるで結婚できない娘を紹介する母親のような台詞です。私は話がどこへいくのかまったくわかりませんでした。

「私見てるとそう思えないでしょ、でもねすごい美人なのよ、だからね学校でさいじめられちゃって今家にいて何もしていないの」


ああそういうことかなるほど話は意外にすぐに着陸しました。

「私今独身なんだけど昔さあっちの人と結婚してね、だから娘ハーフでねその分辛い思いさせちゃったかもしれないけどでも私と違って美人だから差し引きでいうとあれなんだけどさ」

「はい」

私はお母様も美人ですよと言おうと思いましたが、話がものすごく長く厄介な方向にいきそうなのでやめました。その後、母である彼女の人生と娘の現在の境遇について私の主観では永遠と思えるほどの長さで語ってくれました。

「……そうそうそれでね、今日はさうちの娘そういう環境だからナイーブになっていてね、だから先生が信頼できる人が私の目で確かめたかったのね」
「でもさこうして話してみていい先生ぽいし安心したわ」
「そうですか」

私はこれまでぇぇーとはいとそうですねぐらいしかいっていないのに、なにをもって彼女が私の人格を判断したのかは謎でした。分かった事ですが娘さんは不登校であり中学校1年生であるということ、勉強というより学校的な存在として塾に行かせたいということでした。

「入塾の申し出は大変ありがたいですが、そういった生活面のサポートならフリースクールのほうが適していると思います、そういった場所を検討されたことはありますか?」
「うーんでもね学校いけずにそういうところいくといかにも落ちこぼれたみたいじゃない?どうもそれがうーんどうだろって思って」
「そういうことではありません、不登校になったとしてただ少し寄り道しているだけの話しです」
「そうそうそうよねいい言葉だわそうそう寄り道しているだけなんですよね」

実際問題として私のような道を大きく踏み外した人間からすると10代の人間は誰もが大いなる可能性を持っていると感じます。フリースクールを勧めたのは精神面を含めた生活サポートが前提となると私には少々荷が重いのではないか?そういう判断が働いたのも事実です。

「でもね先生にみてもらいたいからどうなんでしょうね?」
「ええ入塾希望というならば一度娘さんを連れてきてもらいたいのですが」

はっきり保護者から入塾の希望をされれば断るのは難しいです。しかしながら面接などという大層なものではないですが、入塾前に一度私は生徒と話し合っています。あまりにやる気のない生徒を入塾させると他の生徒も引きずられて結果的に塾の評判に関わるからです。

面接の日付を決めた後お母様は帰っていきました。残ったお茶を飲み干した後にお茶を出さなかったことに気付きました。
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